2012/1/13更新
『中国近代絵画と日本』展 解説付総目録
●現在国立京都博物館では「中国近代絵画と日本」展が開催されています。
●展覧会の概要は2011年12月20付「中国近代絵画と日本」展でお知らせしました。
●特別展覧会会場には、凡そ200もの作品、資料が展示されています。
●それらの作品資料を展覧会の会場でご覧になれない方には「解説付総目録」で内容や知識を得る事が出来ます。
●展覧会の企画、および目録の編集・執筆は西上実氏と呉 孟晋氏が手がけられました。
●以下、解説付総目録の目次を転載させて頂きます。
下の写真は
総目録 第25頁目
「第一章 筆墨の交歓 清末民国初期の上海と京阪神の文人たち」
森琴石への為書がある「牡丹蛺蝶図 胡鉄梅・王冶梅筆」の部分図 を使用
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目次
ごあいさつ
高剣父の山水図に見る折衷主義と日本画影響ー山本春挙との関係を中心に 西上実 8P
中国絵画の近代化と日本ー筆墨と美術の間で 呉 孟晋 12P
図版
第一章 筆墨の交歓ー清末民国初期の上海と京阪神の文人たち 25P
第二章 美術による革新ー中国絵画の近代化と日本 57P
第三章 海派と京派ー上海・北京ニ大都市の画壇とその展開 85P
第四章 油画と国画ー拡がる絵画表現と日本 189P
余禄 外交官のまなざしー京都国立博物館須磨コレクションについて 225P
王冶梅と森琴石ー近代文人画家と銅版出版事業の関わりについて 西上 実 243P
嶺南画家・方人定の「日本画」ー須磨弥吉郎収集の「後園図」をめぐって 呉 孟晋 253P
作品解説・附参考文献 262P
参考出版図版 314P
須磨ノート 解題、 324p
「現代国画分野展望」
「斉(王+黄)白石翁」
「白石をめぐる人々」
「茫父姚華」、「国画超然派」
「京滬洋画派」、羊城中間派」
「蘇仁山」、「草堂洋画」
出品目録 P.371
List of Works XⅡ
単元概述(中文) X
Section Discriptions VⅠ
序(中文) V
Preface ⅠV
総ページ数 約400頁
価格 2800円
購入ご希望の方はミュージアム・ショップ(便利堂)までおたずねください
森琴石に関するところ
図版 図版15 牡丹蛺蝶図 ・・・胡鉄梅・王冶梅筆 一幅
図版16 森琴石宛王冶梅書簡 ・・・王冶梅筆 一巻
図版17 月瀬真景図 ・・・森琴石筆 一巻
特別論文
王冶梅と森琴石ー近代文人画家と銅版出版事業の関わりについて 西上 実
( p.242~252)
作品解説 「15 牡丹蝶図 解説、款識」・「16 森琴石宛王冶梅書簡 解説は西上特論にあり、訳文」
「17 月ヶ瀬真景図 解説、款識、題跋1,2,3,4」
参考出品図版
第一章 筆墨の交歓ー清末民国初期の上海と京阪神の文人たち
「墨場必携 題画詩集・・・秩・表紙・部分・目次(森琴石編著)
「書画題跋 落款自在・・・秩・表紙・王冶梅題」(行徳玉江編/画=森琴石)
「皇朝清国 名家画帖・・・王冶梅画・森琴石画」(森琴石編)
~雑感~
★中国の近代絵画については、森琴石調査で名前が出る画家についての知識しか持たなかったが、中国の絵画史でいう近現代(1840年のアヘン戦争以降~1948,9年頃まで)、日中間ではさまざまな形で画家達の交流が展開されていた。今回の展覧会を通じて新たな知識を得る事が出来ました。
この解説付総目録は、当時の実情を知るには欠かせない一冊になると思います。
この大著とも言える総目録、短期間でしかも西上先生と呉先生のご両人で纏められたと知り更に驚きました。
●「月瀬真景図」の作品解説では、題・跋文から印に至るまで丁寧に読み解いて頂いています。
★特別論文
●「王冶梅と森琴石ー近代文人画家と銅版出版事業の関わりについて」で、
10ページもの長文で、主に森琴石と王冶梅との関係について触れています。
●森琴石が中国文人と交わした<筆談>も検証資料として使って頂いています。
●王冶梅が森琴石に宛てた書簡には、王冶梅の<銅版出版事業への関与>を証す貴重な
情報が込められています。
●明治期での出版史に於いても非常に貴重な情報と思われます。
●王冶梅の手紙文は丁寧に翻刻され、非常に美しい日本語で読み下されています。
ご興味がございましたら是非ご一読頂きたいと思います。
●特別論文の筆者西上実先生によりますと「時間が無かったので 半分も書き切れなかった」との事でした。
備考:筆談資料について
和紙(半紙)11枚半分にぎっしりと書き込まれたもので、五言詩や七言詩の漢詩さえ、ろくろく読解出来ない私共には、ところどころ読める漢字から内容を推測する程度でした。
研究者の方々からも、この筆談記録は難解であるとして、長らく解明出来なかったものです。
中国から来られた陳捷(ちん しょう)先生、次いで今回の論文を書かれた西上先生共々、森家に調査に来られた折には、時々「ふむふむ」或いは「ほお~~!!」というような表情を浮べ乍ら すらすらと読み進められていました。
「大変面白かったし、非常に貴重な資料です」・・・・・と、読後の感想を述べられました。
これら書簡や筆談の資料
「やっと活かして頂ける時が来た!!」 と、万感の思いをしています。