塾生「河村学而・米津菱江」=明治初期 大阪のキリスト教会創設メンバーだった

2021年5月10日 更新

 

森家控帳…森琴石妻ゑいの葬儀録 より

塾に名
河邨学而(河村学而)・米津菱江

  大阪・明治初期の  クリスチャンだった

what’s new
響泉堂刻の書誌、聖書にも及ぶ(  )
『新約書伝』…「キリスト誕生図」は森琴石刻 )
でご紹介しましたが、森琴石が『新約書伝』の口絵を銅刻していたことから、琴石の周辺に、キリスト教関係者の存在を確信していた。

『旧新両約聖書伝. 2編1』
     ベルナルド著・小島準治 訳・竜章堂・明治13年(1880年)
・・・・・・・・・・・・・・口絵 【耶蘇誕生図】=大阪響泉堂銅刻

『新約書伝』 (扉 明治13年) 『新約書伝』  口絵‐耶蘇誕生図‐(明治13年)
             画像ご提供=熊田司 氏((前 和歌山県立美術館館長・美術史研究家)

森琴石 調査情報【平成18年 9月】 (morikinseki.com) で取り上げましたが、
明治9年4月10日に亡くなった森琴石の妻 ”ゑい” は、森琴石の2番目の妻であり、我が森家の実曾祖母にあたります。

■曾祖母”ゑい”の葬儀の記録がまとまって残っており、当時の森琴石の親族や近しい人物を知る貴重な資料でもあります。

■<諸事控>の焼香順という項目に【塾】という文字が書かれています。
そこには10人の氏名が書かれ、その筆頭の 河邨学而(河村学而)・米津菱江は、大阪の明治時代初期のキリスト教の信者で、浪花教会天満教会の創設に関わっていた事が判明しました。

■明治初期、大阪のキリスト教は、川口の居留地に住む宣教師が広めていったそうです。布教活動の経緯、場所、関わった人物は非常に複雑で、当ブログではお伝えすることは出来ません
旧川口居留地 – Wikipedia ウィキペディア

■河村学而・米津菱江は布教活動を通じ、新島襄や内村鑑三らとも接点があった。

■森琴石と親しかった永田方正は明治6年,日本人で最初に「新旧約聖書」を翻訳した。

■森琴石の親交者緒方維準は、明治42年4月天満教会で受洗、同年7月永眠した。
緒方銈次郎は天満教会の理事職を長年務めた。
調査情報:平成17年1月

■親交のある岡山県井原市の柴原宗助は、新島襄の影響を受けクリスチャンになった。
調査情報【平成18年 7月】 

我が家の祖母「梅子」の身内である「石井亮一」は、敬虔なクリスチャンであり「滝乃川学園」を創設し、日本における障害者の福祉と教育の草分けとなった人です。

森琴石 調査情報【平成20年 8月】 (morikinseki.com)
【1】注2
※「石井亮一」=佐賀藩士石井忠泰の三男
石井家=森家祖母「梅子」の実家、佐賀藩入江家と石井家は、互いに養子縁組をした家系⇒係累「久米邦武」の末尾に少し記述

森琴石の銅刻書誌『康煕御製 耕織図(明治15年)』の奥付によると、
明治15年、森琴石の住所は<高麗橋3-20-6>であり、「浪花教会」が建てられた住所とはかなり近いようだ。(浪花教会の現住所=大阪市中央区高麗橋2-6-3)

■米津菱江(別号方舟)・河村学而については、次回 別途資料でご紹介せさて頂きます。

 

書誌資料

①『遊行する牧者: 辻密太郎の生涯』    47 ページ目
   杉井六郎著/1985年9月16日/教文社刊…46頁末~47頁5行目)

明治10年(1,877)1月20日、大阪の高麗橋4丁目心斎橋筋東北角の志摩三紹介に設けられた松村(矩秋)出張診察所内に 梅本町公会大阪教会から転会した前神醇一、丁野大八、その妻丁野なか、杉田潮、小泉敦、その小泉妻ぜん、西純一の7名と、 この日、宣教師レビットから洗礼をうける米津綾江(米津菱江)、綱島佳吉、河村学而、俣野マスの4名を加えて、11名が教会創立メンパーとなり澤山保羅を牧師招聘し、澤山の按手札ならびに就任式がおこなわれて設立された。  (注:陵江は菱江 著者の記述誤りと思われる)

②『日本基督教団天満教会百年史』  4ページ目
天満教会百年史刊行委員会編集/日本基督教団天満教会 牧師 壷井正夫 発行/昭和54

明治11年2月(1878年)初めて北区地下町6番地(現 南森町1丁目)中村ひさ方に聖書講義会を開き、毎木曜日にレビット宣教師並びに浪花公会員小泉敦、同ぜん、河村学而、同じゅん、服部直一、福谷新七、同えん、中島み起、河村由幾と辻蜜太郎等が応援に来て熱心に伝道した。

③『啄木覚書 未発表書簡をめぐって』 google book スニペット表示による
  川並秀雄著  1981年
…未発表書簡をめぐって移るを守りけふも暮しぬ管野須賀子については、啄木研究家の清水卯之助氏が「 … この教会は明治十一年二月、小泉敦、妻ぜん、河村学而、妻じゅん、母ゆ幾、服部直一、福谷新七、妻ゑん、中島みき等の ・・・・・次回ご紹介

④ webサイト 新宮キリスト教会の活動 (urikomail.jp)
… 1883(明治16)年7月、浪花教会会員で文人画家の米津方舟(よねずほうしゅう)と、聖書販売でやってきた山本周作とが、馬町の寄席でキリスト教演説会を開いた。これが新宮でのキリスト教伝道集会の初め。
翌年の6月には、大石余平らの努力で、キリスト教会堂を建立。

森家資料

森琴石妻「ゑい」葬儀時の記録

以下資料中水色塗りつぶしの氏名者は、教科書や地図、画譜等の著出版をした

・・・・・・・・・・・・・・・・右端(袋状)
               ・・・・ 明治九年第四月十日午前十一時五十分臨終
右から2番目              ・・釈尼妙融葬式一件
 葬式 明治第九丙午年             俗名 ゑゐ 二十四歳
    諸事控帳              ・・森 琴石
四月十日  

ゑい 葬儀録


諸事控帳

  焼香順氏名


5頁目
・・・・・・下方中 塾                                       6頁目        7頁目

米津菱江 5 内山他 塾 河邨 米津邨河学而 7 永田 吉川拝石他4名   6 早野 西本  

8頁、9頁

      藤井光栄  吉川拝石    米津菱江 河邨学而 藤井新輔9 焼香順② 河邨 米津 吉川

紙片
(葬儀参列者 住所氏名・164名の紙片あり。森家実家から資料が届いた折に、棄)

早川栄■郎(堀江)
河邨学而=河村学而
米津菱江(淡路町三休橋筋東■)
若林長栄(東久太郎町)
三宅善助
(北久太郎町三休橋筋北へ入東側)        中ほど 藤井新助
十林行一(今橋)

メモ 住所・氏名 米津 河邨 若林 三宅

真ん中 藤井新助

※森琴石は ”銅版の技術”や”書物作成”など、本つくりの養成をしていたようです。

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メモ
 随時追加します

管野すが
1881-1911 明治時代の社会主義者。大阪出身。筆名は須賀子。号は幽月。
明治14年6月7日生まれ。大阪で宇田川文海に師事して新聞記者となり,木下尚江の影響で社会主義にちかづく。明治39年「牟婁(むろ)新報」へうつり,荒畑寒村と結婚。のち離婚して幸徳秋水と同棲,大逆事件にかかわり,44年1月25日処刑された。31歳。遺稿に「死出の道艸(みちくさ)

幸徳秋水については
『らんだむ書籍館 86』 …小林昭夫氏(千葉県松戸市)
らんだむ書籍館 (morikinseki.com)
中江兆民「[縮刷]正続 一年有半」 をご覧ください
     
  堀内謙吉=森琴石 調査情報【平成23年 5月】 (morikinseki.com)

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ベルナルド著・小島準治訳 によるその他の書誌
●ベルナルドの日本字=倍瑠儺屢弩
●ベルナルドは号を「安治川漁徒」と名乗ったようだ

『聖教理緒 セイ キョウリショ』
安治川漁徒訳,小島準治編
大阪:小島準治,1883年2月=明16年

天主実義』
利瑪竇(マテオ・リッチ)著,小島準治点
東京:開世堂・明18年3月(1885)

小島準治について
元高知藩士
高知藩預りの片岡市右衛門の影響で大阪の天王堂の宜教師クゼンの伝道士とな
り『旧新約史略』を訳し日本公教会に尽くした
・・・・Google books 『キリシタン研究第 5 巻』(吉川弘 文館・1961)等による

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永田方正
調査情報:平成17年1月」に記述
●日本人で最初に「新旧約聖書」を翻訳し、日本で初めてアイヌ語の文法書「北海小文典」を編さん
した人物
●森琴石は響泉堂刻で『永田方正訳 暗射地球訳図 全』(大阪書林岡田蔵版・明治8年)を作製

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柴原宗助
調査情報【平成18年 7月】・「関連人物:柴原宗助」・「平成18年9月【2】■」等に記述
●備中後月郡井原の生まれで、第一回岡山県会議員に当選し、自由民権 運動を起こした。
●備中高梁に来ていた新島襄 らに影響を受け、高梁に始めて キリスト教を伝道した人
物の一人である。明治19年、京都で書店を開業し、同志社の御用達となる。
↑新島譲と関係する

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石井筆子

調査情報【平成19年 10月】に記述
★森琴石の長男<雄次>の妻 梅子の身内「石井亮一」の妻
★ヨハン協会のキリスト教入門
クリスチャン人物伝  石井筆子 ~障害児教育は聖書から始まった~ をご覧下さい

★森琴石HP=展示掲載 平成19年 1月~3月
★石井筆子の叔父は「渡辺昇」
森琴石調査情報【平成21年 2月】■4番目に記述
渡部昇=大阪府知事を務めた
石橋雲来著「雲来吟交詩 3集」に詩文が掲載・森琴石とも交流があった

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藤井新助、藤井光栄、藤井幸三郎  の著出版  

●「浪華名所ひとり案内橋づくし」
(編輯兼出版:藤井新助、鎌田朝助・明治17年12月17日)=国立国会図書館

●「淡交友義 」
(藤井幸三郎編,藤井光栄堂, 明13.5)=国立国会図書館

●「改正小学読本字引」
( 藤井幸三郎編,藤井幸三郎, 明15.11)=国立国会図書館

●「大日本刑法俗解大全 」
(藤井幸三郎編,藤井幸三郎, 明15.11)=国立国会図書館

  • 「地球全図」
    (藤井新助縮図并出版・森琴石銅刻・明治8年6月)=NACSIS Webcat 書誌情報(京都大学附属図書館、準貴重図書庫<室賀コレクション※・古地図>)をご覧ください。
    *香川大学附属図書館にも所蔵されています。

●「月琴独楽松月琴譜」
(藤井新助編著并出版・木版・明治10年12月)=関西大学附属図書館

●「掌中大阪細見及二京之図」
(藤井新助編并出版・明治10年3月)=東京大学附属図書館

●「大阪之図」
(杉岡政治編纂及画・藤井光栄刻・藤井光栄堂出版・明治12年・多色)=国際日本文化センター・神戸市立博物館

●「府県諸郡名及大阪区別一覽表并従東京里程」
(藤井幸三郎著出版・光栄堂・明治11年.6月)(=東京大学 史料編纂所・国立国会図書館

  • 「岡山県市町村制区域三国全図」
    山本真一郎著・藤井幸三郎刻・明治22年7月・銅版彩色・1舗 =出版:岡山

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