鑑定・箱書(文徴明・立原杏所)、箱書(中西耕石・福原五岳)、菅井春山、李流芳など(森琴石日記:明治45年5月13日‐16日)

2017年12月29日 更新

 

鑑定(文徴明・立原杏所)、箱書き(忍頂寺静村・中西耕石・福原五岳)
借りている作品=李流芳
菅井春山・久保井翠堂・平野晃岳・佐竹藍川
当麻寺練供養、昌隆社など
(森琴石日記:明治45年5月13日‐16日)

 

日記に出る事柄、人物
鑑定=文徴明、立原杏所
●箱書き=忍頂寺静村、福原五岳、中西耕石、森琴石・小田海僲
●揮毫依頼=小林直次郎、阿部清太郎、坂上力松、岡村雄徳
●寄贈画依頼=博愛職工学会(井上作次郎)、熊谷直一
●お借りしていた作品=李流芳の作品(和田十宜氏より)
●行事=当麻練供養、昌隆社献茶式(天満天神)
●画家=菅井青山、平井直水、久保井翠桐、平野晃岳、佐竹藍川
●美術関係者=芝田浅次郎
●出版関係者=中島文教社(脇恕嘉)
●展覧会=研精会展覧会、生産博覧会(天王寺公園)、南宋画会
●門人=井出寿石・近藤翠石・鎌田梅石・吉村清琴・佐野翠岳
●身内=ヤス、カツ、壽太、山田かし子
●到来物

 

明治45年5月12日~13日(一部) 明治45年5月12日

明治45年5月13日

明治45年5月13日

翻刻者=成澤勝嗣氏(当時神戸市立博物館・現早稲田大学文学術院教授、美術史大学)

 

五月十三日 晴

○朝、井手寿石来ル、菓子到来ス、

●昨日、堀尾ヨリ依頼之自画幅箱書出来、受取ニ来ルニ付、相渡ス、謝儀領収

○午後、久保井翠桐、并平野晃岳罷越シ、研精会展覧会之義ニ付依頼罷越ス、

○名古屋菅井春山罷越シ、同地ニ而絵画展覧会開催ニ付、出品誘導致シ呉候

様依頼罷越ス

近藤翠石南宗画会展覧之義ニ付、罷越ス、

中森来ル

○同夜、鎌田梅石、新町姉知己先ヨリ尺八*梅林山水揮毫願呉候被頼候付、承諾致呉候様申越候処、謝儀之件ニ付相答、先方ヘ照会、猶依頼ニ罷越候様申之、引取、

○早朝、平井直水氏ヲ訪フ、

○朝大和御所奈良罷越、明日兼テ咄有シタイ麻(当麻)ネリ供養ニ付、見物誘引罷越シ、ヤス小児召連罷越ス約ヲ致ス

●久宝寺町、前田ヨリ依頼之耕石五岳静村*之幅箱書受取ニ来ル、耕石五岳出来有之相渡ス、静村之分ハ調子有之不出来右謝儀領収

○午後、佐竹藍川来ル、近々東京ヘ罷越し、同地居住之準備可致旨申之

 ※井出寿石=森琴石門下
※久保井翠桐=大阪の画家
※平野晃岳=大阪の画家・四条派
※菅井春山=明治10年名古屋に生まれる。浮世派。
※中森=森琴石画の斡旋者・日誌には頻繁に名が出る
※平井直水=大阪の画家・深田直城門下・森琴石と親交
※尺八=幅一尺八寸の画
※中西・五岳=中西耕石、福原五岳
※静村=忍頂寺静村
※佐竹藍川=香川出身の画家

 

五月十四日 曇折〃晴

○早朝大和御所奈良家内、今日大和タイマ(当麻)ネリ供養見物迎トシテ罷越ス

ヤス、カツ、寿太、下婢召連、早朝ヨリ奈良迎ト同道、大和ネリ供養見物ニ罷越シ、夕過帰宅、

○午前、坂上力松罷越ス、吉村清琴ヘ属之画帖潤筆持参ニ付、預リ置、早速、右吉村通知ス、

○午前、天下茶屋山田(可祝子)氏*来訪有之、昼飯饗応ス、

○午後、博愛職工学会井上作次郎他一人罷越し、寄送画請求有之、紀念品到来、

岡村雄徳氏来訪、小切揮毫依頼有之、物品到来ス、

◎午後、井手寿石外一人来訪有之、立原杏所・桃源図幅、文徴明画幅持参、鑑定箱書依頼有之、

坂上力松并同人弟罷越し、自画五十四年前画山水幅四十一年前画幅、右ニ持参、鑑定ヲ乞、真物、箱書依頼有之、謝儀領収ス、

◎西京芝田浅次郎来ル、小切画一枚揮毫属托有之、

 

※当麻練供養(とうま ねりくよう)
當麻寺春の大祭で、中将姫の現身往生を再現する行事。観音菩薩、勢至菩薩ら二十五菩薩が、現世に里帰りした中将姫を迎えて、極楽へ導くという儀式1000年を越える伝統を持つこの行事は我が国の練供養の発祥となる(コトバンクより)
山田可祝子=ヤス身内の娘
※岡村雄徳=著書に 『陸軍兵事参考』(明治30)あり

※立原杏所江戸後期の画家・水戸藩士。初め僧月僊に学び、のち谷文晁の門下となる。渡辺崋山椿椿山らと交友があった。元・明画を研究し、山水・花鳥を得意とした。天保11年(1840)歿、55才(コトバンクによる)
※芝田浅次郎=京都の美術商、芝田堂。

 

 

五月十五日 晴

昌隆社天満天神献茶式挙行、有之、古画陳列有之、案内ヲ請ニ付、早朝ヨリ罷越ス、其途、松本一鳳氏ヲ訪、十一時前帰宅、

●昨日依頼有し井手取次、村上属、文徴明 立原杏所之幅、箱書出来ニ付、井手ヲ受取ニ

来ルニ付相渡、午後村上鉄太郎右謝儀持参、礼ニ来ルニ付領収ス、菓子到来

中島文教社脇恕嘉大雅蕪村十便十冝*之画帖発刊、持参ニ付、一部買求、代金拂渡ス、

○午後、岐阜施薬院伊藤定蔵罷越シ、依頼寄送之画、揮毫督促有之

○過日写真撮影致候、右取ニ遣シ、受取帰ル、

●伏見町阿部ヨリ依頼之海僲*老松孔雀之幅箱書出来、受取ニ来ルニ付、相渡ス

※大雅 蕪村=池大雅、与謝野蕪村
※小田海僲=画家
※十便十冝帖=(現在 国宝)の複製

 

五月十六日 曇

○午前、京都本町十二丁目、小林直次郎ト申人罷越シ、紙本持参一枚持参、揮毫ヲ乞ニ付承諾致遣ス

●伏見町表具師阿部清太郎ヨリ依頼之海僲*老松孔雀幅箱書出来、受取ニ来ルニ付相渡ス …注内容が前日と重複

○午後、伊良湖来ル、明日ヨリ画会開催、依頼之寄送画受取ニ来候ヘ共、未成、明日迄ニ揮毫可致旨答

天王寺公園生産博覧会ヘ出品之画、引取持越呉候付、受取

○夕過、近藤翠石来ル、過般譲ル印代金持参ニ付受取ル

○同夜、佐野翠岳来ル、画稿構成致シ、遣ス、

○午後、ヤス和田十冝病気見舞ニ罷越シ、品物贈ル、過日借リ来ル李流芳枯木図幅、返却

※伊良湖=画家 伊良湖晴洲
※李流芳=1575‐1629中国,明代の画家

 

 

 お詫び申し上げます
二年前からの背面痛は、治療の効果により かなり改善してきておりました。
10月末に体力をつけるために入会した健康体操教室で12月初めに肋骨筋挫傷などを負ってしましました。
今年6月には、長兄が亡くなった事もあり、皆様方には近況のご報告や季節のご挨拶も出来ずにおります。
お詫びを申し上げますと共に、今後とも宜しくご指導を賜りますようお願い申し上げます。

 

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