大ヒット!  森琴石の『墨場必携 題画詩集』

2014年7月9日  更新

台風8号が猛威をふるっています
 進路方面の皆様方には
被害が僅少であることを
切にお祈り申し上げます

前回は
門弟「山名友石」著書序文:なぜ富岡鉄斎だったか?  

 

大ヒット!
森琴石の『墨場必携 題画詩集』


昭和8年にも刊行されていた
出版人違いで度重なる再版を重ねる
・・芸艸堂刊=昭和8第10版目を刊行

 

平成13年の調査ノート
大正2年刊『墨場必携題画詩集』の存在?
■前回の続きを書く為に資料を見ていると、あれこれと気になる事が次々と出てきて違う方向にと迷走してしまいました。
■迷走ついでに本来の予定を変え『墨場必携 題画詩集』について取り上げたいと思います。
■迷走の原因は、平成13年の調査ノートがきっかけです。
■ノートによれば『新編墨場必携題画詩集』が大正2年にも刊行されているらしく、芸艸堂に問い合わせしようと思っていたようだ。
その内容は

メモ:芸艸堂    ・・・・・・・・・NO43(頁の事) 

・・新編墨場必携 銅版4冊 明治24年

・・・大正2年7月10日
・・・著者:行徳玉江
・・・発行:青木嵩山堂
・・・『日本名勝詩選 1~6集(行徳玉江※著/青木嵩山堂刊)
・・・・・第6集末の広告欄に
・・・・・・「新編墨場必携」
・・・・・・・・袖珍帙入4冊がある
・・△大正2年刊があるかどうか?
・・△芝田浅次郎※の件
・・△11P(頁の事)

:行徳玉江は森琴石の兄弟子(師匠=鼎金城)。『日本名勝詩選』は明治32年12月に初版、その後1906(明39)・1920(大9)に再版されている。
:芝田浅次郎は「芝田堂」の名で、京都の美術商として出版や展覧会などを精力的に手がけた人物で、森琴石の日記にも頻繁に名前が出、芸艸堂の仕事にも多数関与している。

■何を根拠にメモを書いたのか、13年前の事なので殆ど記憶に有りません.
△3番目の11Pとはノートの11頁の事で、該当頁をみると大阪府立中之島図書館で調べた『明治新用文大成(佐野元恭著)』や『直入居士妙蹟集(芝田浅次郎編・芸艸堂刊)』、『田能村小篁 汲古山泉 田能村直入(発行芝田又衛門・乾に行徳玉江の篆刻)』など7点分の書誌カードの写しや書誌情報を記録しています。
■ノートには中之島図書館で調べた多数の書誌情報を記録しており、特に石橋雲来の「雲来詩抄」についてはかなり詳細に記録している。
■行徳玉江の書物についても調べたようで、ノートの5頁目には「私立画学校設置伺(池田市林田民平蔵本 昭和53 複製)」や、「日本名勝詩選」のカード番号等を記録している。
■行徳玉江の「私立画学校設置伺」は、森琴石らが中国画の教授となった「浪花画学校」開校の時期と行徳玉江が設置しようとした時期について、何故同じような時期に作ろうとしたのか疑問に思い、手掛かりがあるか知りたくて複製のものを閲覧した記憶があります。
事務的な内容で兄弟子玉江の心境を探る事は出来ませんでした。
■「私立画学校設置伺」は、師匠・先輩:行徳玉江(七)で記述しています。
その後、水田紀彦先生が行徳玉江について「私立画学校設置伺」をも取り上げた論文を書かれたようです。
■もしかすると大正2年刊の「日本名勝詩選」は、府立中之島図書館で見たのかも知れません。今年話題となったSTAP細胞研究のO氏で取沙汰されましたが、ノートの記録の拙なさの弊害をつくづく実感しています。

 

古書サイトで発見
昭和8年刊
・・
『墨場必携 題画詩集』の古書
■『新編墨場必携』は、明治24年に芸艸堂から出版されており、大正2年にも刊行したのかな?と思い、11,2年前に作製した「森琴石著書一覧」や国立国会図書館のNDL-SearchWeb cat Plusなどで調べましたが、やはり明治24年刊のものが最後でした。
■『日本名勝詩選』は、調査情報「平成17年12月」で取り上げています。
◉同著は京都大学の谷村文庫で画像閲覧が出来ると記述していますが、現在当時のアドレスでは閲覧出来なくなっており、平成13年のメモにある末尾の広告には「新編墨場必携 題画詩集」は有りませんでした。
◉何を根拠に“メモ“を書いたのか、ますます分からなくなってしまいました。
◉現在、京都大学附属図書館所蔵 谷村文庫 『日本名勝詩選(第5・6集)』のアドレスはhttp://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/0036/image/72/0036s640.htmlで、一部画像閲覧が可能です。
■気がかりとなる『墨場必携 題画詩集』を古書サイト<日本の古本屋>で調べてみると、つい最近まで見たのとは違う情報が出ていました。
■「題画詩集」のシリーズは、明治12,3年のものが多く販売されているが、昭和8年に刊行された古書が初めて販売されていました。
■価格は5000円で、明治12,3年刊のものに比べればかなり安価なほうである。
■我が家でもこの「題画詩集」はかなりの数の収集をして参りました。
■森琴石HPでは「題画詩集」について、「平成18年9月【2】」でかなり詳しくご紹介しています。又「平成18年11月」でも取り上げてきましたが、昭和刊のものは初めてです。

下に昭和8年刊の画像を貼り付けました

『題画詩集 新編墨場必携 森琴石編輯』
・・明治24年5月1日 再版

・・・昭和8年8月15日 十版
・・・集者     森 琴石

 ・・・発行所 合名会社芸艸堂

帙_0002

表紙(縦9.4x横6.5cm)表紙 全(一) 口絵(大阪響泉堂刻)一 左:題辞 王冶梅     右:陳曼寿
王冶梅(一) 題辞:王冶梅
王冶梅題辞(四) 鱗介 二十二丁   倣 冬心先生筆意3-22蛙(四) 古像図 四十四丁
3-40 古像図奥附
4 奥附け

大ヒット!
・・森琴石の『題画詩集』

古書を取り寄せる
昭和8年
・・芸艸堂刊
・・・『題画詩集 新編墨場必携 森琴石編輯』は第10版目

■昭和8年刊と知り「本当に昭和時代に出版されていたの?」という疑問もあり、買おうかどうしようかと少々迷いましたが、リーズナブルな価格にも惹かれ、森琴石の子孫としては「これは是非持っておかなくては!」と、取り寄せた次第です。
■浅草の古書店から届いたものは、帙の装丁は経年焼けこそあれ、中身の4冊は虫食いや傷みもなく刷りの状態も濃くて非常に満足するものでした。表紙などにも折り目が無い事から殆ど使っていなかったようです。
■奥附を見て驚いたのですが、「明治24年再販発行、昭和8年10版発行」とあるので、芸艸堂では明治24年から内容やサイズなどを変えながら、昭和8年まで9回も発行され続けてきたのですね。
■『題画詩集』昭和8年迄増版されてきたのですから、大正2年刊があっても不思議ではありません。
■今後、3版4版5版6版・・・9版のものが出てくる可能性があります。10版以上のものもあるのでしょうか?
楽しみが増えました、今後を期待したいと思います

 

 森琴石【響泉堂】刻
『記事論説文例』も 大ヒットしました!
「 平成19年1月 注10 に記述しています

 

森家が把握の
『題画詩集 新編墨場必携 森琴石編輯』を年代別に記しました
・・・(大まかにしています。誤記は後日訂正します)
明治12年7月 『墨場必携題画詩集 森琴石編輯』石田才次郎
明治12年10月 『墨場必携題画詩集』 浪華同盟舎

明治12年11月  『墨場必携題画詩集』    北村宗助・吉住音吉
明治12年11月 『墨場必携題画詩集 森琴石編輯』 吉岡平助
明治12年11月 『墨場必携 増補題画詩集 森琴石編輯』 吉岡平助
明治13年4月  『墨場必携題画詩集』山田浅治郎(神奈川)
明治13年7月  『墨場必携題画詩集』  石田才次郎(京都)
明治13年9月  『墨場必携題画詩集』 吉岡平助
明治13年9月  『墨場必携題画詩集』 同盟舎
明治14年4月  『新編墨場必携 題画詩集』 辻本信太郎
明治14年4月 『題画詩集 新編墨場必携 森琴石編輯』
・・・・・・・・・辻本信太郎・青木恒三郎
明治24年    『新編墨場必携 題画詩集』 崇山堂
明治24年5月 『新編墨場必携 題画詩集』 芸艸堂
明治26年   『新編墨場必携 題画詩集』 辻本信太郎
昭和8年8月  『題画詩集 新編墨場必携 森琴石編輯』芸艸堂(京都)

 

 

 

 

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